映画『夜光 〜ある定時制高校の物語〜』と比較すると面白い映画3本
映画『夜光』を見守るフクロウのブログです。
記念すべき第1回目は、映画『夜光』と比較すると面白そうな映画3本を独断でセレクトしました。
①『桐島、部活やめるってよ』(12 / 吉田大八)
まずは、メジャーなところから。
現代の学校のスクールカーストを鋭い描写で、繊細に描き出した群像劇。
時間軸を乱す構成も巧みで、俳優陣の芝居も見応えがあります。
(現在では主演クラスの俳優が多数出演しているのも凄い!)
映画『夜光』と、構成要素は異なるものの、物語が持つテーマ(問い)はかなり近いものがあると感じます。
というか、『夜光』は『桐島』の延長と言ってもいいのかもしれない。。。
また、映画の外の話ですが、野球部の部長役の俳優さんが、俳優をやめるつもりだったそうなのですが、
この映画出演をきっかけにオファーが来て、俳優を続けているというエピソードも大好きです。
ぜひ、両方観てください!!
② 『きみはいい子』(15 / 呉美保)
中脇初枝の同名短編小説集の映画化。学級崩壊や障害者、高齢者の痴呆、
児童虐待など、様々な社会問題が提起される人間ドラマです。
胸を打たれるのは、主人公の教師が、家で暴力を振るわれている少年をどうすることもできず、雨の中で立ち尽くす場面。
教師はあくまで教師であり、生徒の親ではない。生徒を救うためには、親と生徒の間に入るしかないが、
それをしてしまうと、より生徒への暴力が加速してしまいます。
主人公の若手教師は、生徒と向き合いたいという思うのですが、現代の教育現場の中でそれができない難しさに葛藤します。
そうして、終盤、主人公は、生徒たちにある宿題を出すのですー。切実な問いを持った、とても優れた映画だと感じました。
他にも、映画『夜光』との類似性がたくさんあり、
同時代にこの2本の映画が生まれて来ることの意味を考えてみるのはいかがでしょうか?
③ 『デタッチメント 優しい無関心』(11 / トニー・ケイ)
映画『夜光』は夜間定時制高校の話ですが、こちらはアメリカの学校のお話。
日本では、劇場公開されておらず、アマゾンプライムなどで見ることができます。
この映画、とにかく陰鬱なエピソードが続き、暗~いので、観る人は選ぶかもしれないですが、隠れた傑作。
何が凄いかと言うと、登場人物がちゃんと「生きている」ということ。
本来、脚本家は映画を面白くするため、ドラマを作るために、様々な工夫を施します。
例えば、登場人物のキャラクターを尖らせたり、敵を用意したり、主人公に障害を与えたり。。。
ただ、それが逆に作為的に見えてしまい、リアルさが欠けてしまうことも少なくありません。
登場人物が生きている感触を与えること、これは、プロの書き手でも、できそうで中々できることではありません。
ただ、この映画は、それが成立しているのです。
特に、ゾッとしたのは、クラスの少女が不気味な絵を担任教師にプレゼントする場面。
少女に全く悪気がなく、彼女に心にある「他人への険悪感情、引いては自分への険悪感情が見えるのが、
私には恐ろしくリアルに思えました。そこが、この映画の美点です。
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